みどりと木の文化のまちづくりネットワーク
 
コンテンツ
  私たちの理念   活動記録   イベント情報   会員募集   関連グループ  
 

「地球の秘密」の著者・坪田愛華さんのお父様である坪田正さんをお招きして、
自然環境についての講演会および懇談会を行いました。

 








 

 2005年2月18日、和歌山県の「みどりと木の文化のまちづくりネットーク」主催の講演会は、環境童話『地球の秘密』を書いた坪田愛華さんの両親を招いて行われた。
 著者の愛華さんは1979年に島根県で出生。12歳の秋、学校で環境問題を調べ、まとめる課題が出され、二か月かけて得意の漫画を駆使して作成。書き上げたその夜、あっけなくこの世を去っていった。残された作品に感動したご両親が、遺作として同級生や学校に配布。この小さなきっかけから、『地球の秘密』が世界中に広まっていき、地球に生きるすべての生命を守るために、今、私たちが何に気づき、何をなすべきかを伝えるメッセンジャーとしての光を放ちつづけている。ご両親は作品に込められた思いを語り継ぐため、招かれればどこにでもと、ここ和歌山県田辺市にもいらしてくださった。
開会の挨拶で、ネットワークの理事長、鈴木宏昌氏は「里山の木を守ろう」と参加者に呼びかけ、森→水→川→海→人の暮らしの循環に気づき、その一つが欠けることの危うさに真剣に向き合う時が来ていると語られて、坪田愛華さんのお父さんを紹介された。
 坪田氏は開口一番、ここは空気を味わう、感じることができる町ですね」とおっしゃった。ふだん、感じなくなっているけれど、六十歳になって、終の住処にここ紀南の地を選んだ私たち夫婦も、初めてこの地にやってきた時、同じ思いを持ったことを思い出しながら、お父さんが語る愛華さんの短い一生と、その短さ故に凝縮された彼女の作品の意味について、耳を傾けたのだった。
 講演会に誘われる一週間ほど前に、私は知人から『地球の秘密』を勧められて読んでいた。読後感は、とても六年生の児童が書き上げたものとは思えなかった。構成もしっかりしていて、バラバラだった知識がきちんと整理されて頭に入ってきた。地球の歴史、自然のバランス、侵されていく地球の現状、今、すべきことなど、大人が読んでも、子供が読んでも、幼い子に語っても分かりやすい読み物になっていることに感心してしまった。
お父さんの講演は、この本を土台にして、ここ二、三年、気候がおかしくなってきて冬と夏だけになってしまった日本や、森林が砂漠化している世界の現状などが語られ、自然がおかしくなってきている上に、まるで人間と家畜のみしか生きられないような、他の動物たちの生息が許されなくなってきている地球の実態と人間の意識のありように深い憂慮の念を示された。では、これから、私たちは何をなすベきか?
坪田氏は、その答は家庭の教育にあると言う。家族で、ムダなものを買わない、持ち込まない。みんなで、ムダをノートに書き出してみる。それを家族みんなでやってみる。その行動の中から、消費だけの生き方を見直し、環境について考える視点が生まれてくるとおっしゃる。愛華さんが勉強して、そして、みんなに伝えたかったこと、それは自然の連鎖を立ち切らない努力を人間がしなければ、地球の未来はないということだ。
 私は、今の若者たちはとてもやさしいと感じる。繊細でナイーブな心を持っている。しかし、骨太の勉強をしていない。愛華さんのようなグローバルな視点で物事の本質や核心を掴む力を育てていない。彼らたちも六年生の頃には、きっとこの力と感受性を持っていたはずだ。それを奪ったのは、受験教育と大人たちが作った消費第一の生き方ではなかったか。「負うた子に教えられ」の譬えを思い出しながら、豊かな森のみどりを守るお手伝いにも何らかの形で参加したいと思い、地球に生きるすべての生物に恵み多い社会を作っていきたいと痛切に感じた時間でもあった。

和歌山県西牟婁郡白浜町 O・C